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写真に覚えた魅力について


写真に覚えた魅力について
松延壮

このあいだのかえる会で、初めてメンバーの前でプレゼンテーションを行った。発表している最中には、多くの情報を詰め込んだ割によどみなく話せている感覚があった。しかし、あとで動画で見直してみると、結構聞き取りづらかった。やたらと同じフレーズを繰り返し、ちょくちょく感嘆詞を挟んだのが原因だと思う。今後のスピーチでは、より聞きやすさに重きをおくつもりだ。なお、具体的な内容は小園君がブログに書いてくれたので、こちらを読んでほしい。

 

さて、僕は先週まで、三週間ほど東京に滞在していた。留学に関する事務手続きのため、また美術館を巡るためである。今回は、少しでも関心がある場所にはなるべく足を運ぶようにしていたので、結果的に写真や絵画への興味が強くなった。ここでは、生まれて初めて観に行った写真展を振り返って、思ったことを書きたい。

滞在中に訪れた2つの写真展のうち、特に林忠彦の作品展は、20枚前後の展示だったものの、僕に初めて写真の魅力を感じさせた。そこには彼の撮った終戦直後の作品が並べられており、有名な、バーで談笑する太宰治の写真もあった。中でも僕の目を引いたのは、「歓喜の復員」という作品で、戦地から引き揚げてきた日本兵たちが写っていた。皆敗戦など気にも留めずに、心の底から喜んでいるように見えるが、よく眺めてみれば、一人一人に個別の喜び方があることに気付く。笑うだけでなく、右手を振り上げている者もある。こちらのカメラに気付いて、俺の高揚を記録してほしい、と言わんばかりの表現だった。
日本兵と言えば、淡々として、いつも無表情、というイメージを持っていたからだろうか、写真の大胆な笑顔は、70年以上前の人間をぐっと身近に引き寄せた。その時に、僕は作品に魅力を感じた気がする。写真に映る、彼らの過去についてや、彼らが帰国後何を楽しみにしているかはわからない。ただ、そういった、被写体に個別の事情、みたいなものに思いを馳せる上で、多様な可能性を感じる時、写真を良いと感じるのではないか、と思う。

 

NHKで夜放送されている、「ドキュメント72時間」という番組がある。街の公共施設や商店等に定点カメラを設置して、そこに訪れる人々を3日間撮り続け、インタビューするというシンプルな番組だ。津軽海峡・年越しフェリーの回は、夜の船内という空間にワクワクしたこともあって、よく覚えている。インタビューに答えたある父子は、血が繋がっておらず、北海道での、初めての二人旅のためにフェリーを利用していた。インタビューからは、十代の息子との距離を近づけるための、過去の父親の苦心が伺われた。また、入院している親友を訪ねるべく乗船した、老爺のあきらめの切なさは記憶に残った。僕は、ふだん路上では通り過ぎてゆく大勢の、個々の事情に焦点を当てた、この番組が好きだ。本来知り得もしない人々の、ほんの一部だけを観ることで、勝手に、彼らの直接は描かれない部分に思いを馳せられる際に感じる、という点で、この番組の魅力は、写真の魅力と共通している。

 

今後作品を見て、自分が他にどんな写真を良いと思うのか、興味がある。写真が好きな人がいれば、コメント欄等で好きな写真家や作品タイトルだけ教えてほしい。
また、今回は趣味的要素が強くなったが、次回のブログからはアメリカで書くことになるので、向こうでの生活についても書けると思う。希望に添えるかは場合によるが、内容の要望があれば、伝えてほしい。


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